#001 にこぐさ

音楽とファッションとをクロスして素敵な何かを生み出す、人やお店、モノ、コトを紹介するこのページ。今回は栃木県宇都宮市の「にこぐさ」オーナーでフローリストの海老原浩さんにお店のこと、そして音楽活動についてお話を伺いました。

お店の概要

「にこぐさ」は2003年5月にオープン、今年で12年目を迎える生花を扱うお店です。宇都宮市の中心部近くにありながら、築80年以上の古民家を再利用しているせいか木の引き戸を開けるとノスタルジックで落ち着いた雰囲気に包まれ、つい長居してしまいたくなります。

「にこぐさ」という店名は「葦垣の なかの和草(にこぐさ)にこやかに我と笑まして 人に知らゆな」(意味:葦垣の中に、ひっそりとかわいらしく咲くにこぐさよ、そんな風に笑いかけて、人に私達のことを知られないようにしてね)という万葉集の中の一句から取ったそう。古来から日本では人々がやさしい気持ちで花を愛でてきたことがこの句から読み取ることができ、それを店名の由来にしているのが素敵です。


古民家を利用したお店。木の引き戸の存在感。


色とりどりの花。お邪魔した時期はアジサイがきれいな季節でした。


元からあった木の風呂桶をディスプレイに。奥様セレクトの雑貨もおすすめです。

ショップでは、鉢物や季節感のある枝もの、オーナーが選んだやさしい色合いの花を多く取り扱っていて、店先には「にこぐさ」ならではの草花が並びます。店内には一緒に店を営む奥様が選んだかわいらしい花器や小さな雑貨も販売。花の種類もそうですが、アレンジメントも店の雰囲気と調和した可憐で洗練されたセンスが感じられます。また、夏と冬に不定期で開催しているワークショップは、毎回すぐ予約で埋まってしまう人気ぶりです。

店主の海老原さんは学生時代、音大で打楽器を専攻され、今も仕事の合間を縫って音楽活動をしています。まずは音楽活動のきっかけから伺っていきます。
音楽を始めたきっかけ
Mucre(以下M):海老原さんの音楽活動について教えてください。きっかけはどんなことでしたか?
海老原(以下E):はじめ幼稚園のマーチングバンドで、小学校のときもやっていました。上級生がとてもかっこよかったんですよね。
M:今も楽器はドラムを担当されてますが、その頃からですか?
E:最初は小太鼓から。上級生がとてもかっこよくてね。中2でバンドブームだったし、高校生になってチック・コリアを聴いてからかな、ジャズを聴き始めました。田舎だからジャズを聴いてる人が周りにいなくて、実際にジャズの演奏をやりはじめたのは音大に入ってから。

「出会い」の大切さ。
M:音大で本格的に音楽活動を開始されたのですか?
E:そう、同級生に倉沢大樹君※がいたのが大きかったです。彼のお父さんは楽器店を営んでいて、音楽家でサックス奏者なんです。音楽好きに慕われているような存在で。彼は小さいころからそういう環境で音楽の英才教育を受けていたから。こんな奴がいるんだなーって。音楽的な影響を受けたわけではないけど、彼との出会いは大きかったね。今は無き、グルービーっていうジャズバーで18歳か19歳から20代前半まで週一回演奏させてもらったのがいい経験になりました。いろいろな人とジャンルを問わずにセッションをはじめたのは20歳くらいから。その頃に知り合った人たちとのつながりが今も大きいです。

※倉沢大樹 エレクトーン奏者。アレンジャーとしても活躍している。1993年にシンガポールで開催された第30回インターナショナル・エレクトーン・フェスティバルにて7万人のエントリーの中からグランプリを受賞。全国各地でのデモ演奏やコンサートのほか、地元宇都宮ではライブハウスでジャズ・ピアニストとしても活動中。

演奏中の海老原さん

仕事と音楽と
M:仕事と音楽の両立について聞かせてください。
E:店をはじめて10年近くは忙しくて、2年に1度くらいしか音楽活動ができないときもありました。気持ちと時間の余裕がないとできないよね。特に気持ちの余裕が大切。でも人生の残りの時間も考えて、4~5年前くらいから音楽ももっとやろうと思いはじめました。基本、会社員の人みたいに週末が休みってわけではないから、演奏のスケジュールに合わせて仕事をガッとこなして、土曜日やっと行けた!やれた!みたいな。

M:忙しい中でも音楽活動をやっていくということは、フローリストの仕事にどんな効果・影響を与えていますか?
E:いい効果を与えてくれていますよ。音楽も、フローリストの仕事も大切に見えてくる。たとえば、フローリストだけやっていて全然趣味がないより、いいよね。もちろん仕事は大切。でもやりたいことをやる時間は作らなきゃなって思います。

にこぐささんのフラワーアレンジの数々。とても繊細な色づかいに魅かれます。

M:現在の音楽活動のことを教えてください。
E:月に一度は定期的にジャズバーで演奏していますが、ジャンルを問わずいろんな人とセッションしたいなと思っています。イベントのときだけのお手伝いもあるし、いろんな人といろんな音楽をやっています。
M:ジャンルの垣根を越えて幅広くセッションできるのがすごいですね。
E:それこそ20代前半は日本語ラップとか聞かなかったし、ジャズとクラシックだけが音楽!っていう時期もあったけどね。
(編集部注※取材の2日前はp.o.pさんとセッションされていました!とっても楽しいライブでしたよ!)

M:宇都宮ってジャズの街と言われていますが、ミュージシャンが多いですか?
E:宇都宮、面白いミュージシャンいっぱいいますよ。Facebookをはじめて、改めてミュージシャンが多いなって気が付きました。

音楽とファッションのつながり
M:海老原さんにとっての音楽とファッションのつながり、接点ってなんでしょう?
E:1950年、60年代のジャズ・ミュージシャンってものすごくおしゃれだったなあと。それと、自分のやっている音楽と着ているファッションのイメージってどことなく似ているところがあると思います。決して真っ赤、真っ黒とかじゃなく、ギンガムチェックとかボーダーみたいな。めっちゃオーガニックとかシルクとかではないけど、着心地のいいコットンみたいなね。
M:目に見えない音楽も、ファッションで例えると画が見えて手触りも感じられて素敵ですね。ファッションのこだわりって何かありますか。
E:買うときはね、直感。これも出会いが大切ですね。あと、Tシャツだけ1枚では着ないかな。アクティブな感じがするから、自分と合わないなって。それと、自分で袖を切ります。「このシャツ半袖のほうが合うな」って思ったら切って、ミシンかける。
M:ご自分で?
E:そう。裾の長さとか、こだわる。サイズ感とか。人に見られているからとかではなく、自分のテンションが上がらないの。でも、失敗はしないんですよね。

取材した日、店内ではNARA LEAÕの「SUNNY SIDE UP」が流れていました。「日本語だとBGMじゃなくなっちゃう」ということでジャズやボサノバをセレクトしているそうです。

繊細なお花のアレンジも、ジャンルを問わないセッションも、ミシンもできる!器用な海老原さん。仕事と音楽との素敵な相互関係。これからの音楽活動も楽しみにしています。

「にこぐさ」 http://www.nicogusa.jp
〒320-0036
栃木県宇都宮市小幡2-6-16
TEL・FAX 028-643-5113
OPEN
平日・土曜 10:00~19:00
日曜・祝日 10:00~17:00
CLOSE 火曜

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