#002 SALON de RICO 2/3

2.デザインがかたちになるまで

前回のレポートでは、安蒜さんがレザーブランドを立ち上げると決意したところまでをお伝えした。

1回目レポート

この回では、デザイン画から製品が完成するまでの行程や実際にどのような苦労を乗り越えてきたのか、そして今後の展望を安蒜さんに聞いた。


デザイン画が完成すると、まず初めにバッグを作る職人へそのデザイン画をもとにしたサンプル制作を依頼する。ただし、デザインでどんなに細部にわたる指示をしたとしても、なんの調整もなくデザインやイメージ通りにサンプルができあがることはまずないという。

レザー製品のなかでもバッグは生地(ここでは牛革)に加え、ボタンやファスナーをはじめとする金具などのパーツ、裏地などさまざまな材料で構成されている。よりデザインやイメージに近い形に作り上げられるよう、それぞれの素材を扱う問屋を巡る地道な作業が必要になる。

安蒜さんは問屋を訪れ、作品を構成する一つ一つのパーツを吟味し仕入れる。

パーツ写真

牛革はブランドやグレードが細かにあり、イメージとコストの折り合いをつけながら特に注意をはらって選定する。安蒜さん曰く「一枚一枚表情が違う」そうだ。

安蒜さんと比較しても製品に加工する前の革がとても大きいことがわかる。

また、革には紙や布地と同じように「目」があり、それを考慮しながらも1枚の革から効率よくパーツを切り出せるように「歩留まり(ぶどまり)」も重視しなくてはならない。この選定には決して手を抜くことはできない。

パーツも実際に仕入れてみたらイメージと違う、それぞれのパーツを集めて組み合わせてみると現実的に制作が難しいものだった、など製品に仕上がった時のことも想像できる。

これまで革製品の制作経験のなかった安蒜さんは、その点に苦労しなかったのだろうか。

「二次元で作ってきたものを三次元の立体物にしようとした時のギャップが勉強になった。こういうことは苦にならない、むしろ楽しい」
と意外な答えが返ってきた。

バッグの制作では、職人とイメージをすりあわせるための打ち合わせを重ねることが多く、デザインと実際の作業でつじつまが合わない場合、受け付けてもらえないこともあるそうだ。安蒜さんはそこで「つじつまが合うようにうまく職人とミーティングで調整しながら」依頼をするという。

「音楽製作など、自分一人で作品を作る場合、全て自己判断で作っていかなければならない。しかし、バンドや商品製作など複数の人の手が加わる作品では、各自のノウハウや、意識をすりあわせていく中で、新たな作品を作り出す喜びがある。」と語る。

どんな分野でもアーティストと呼ばれる人は自我が強い。それがアーティストの存在価値である反面、苦労も多いのではないかと想像していたが、彼には当てはまらないようだ。

「バンドも、レザー製品についても、それに関わるすべての人が一番活き活きするにはどうしたらよいのか、いつも考えている。一見うまくいかないように思えることから、最終的に全く新しい何かが生まれたりする。それが作品になった瞬間が、自分のエゴイストな部分が満たされる瞬間なのかもしれない。」

音楽に関しても、バンド全体のことを俯瞰して考え、各パートの編曲を担当する話を聞くと、安蒜さんはディレクターやプロデューサー気質なのかもしれないと思う。

音楽と制作、どちらも自分の足で人に出会い、その縁を大切にしているという。
安蒜さんがその先に見すえているのは「量産」だという。

意外な答えの元には安蒜さんの生い立ちや縁も関係しているようだ。

次回最終回は、いよいよブランドサイトのオープンと作品解説、そしてこの先の展望を紹介する。→NEXT

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