MUTEK.JPに登場 小室哲哉×脇田玲のインスタレーション・ライブ

日本科学未来館で3日間にわたり開催された”RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO x MUTEK.JP”。最終日の11月5日、メインアクトとして出演した小室哲哉×脇田玲による圧巻のライブをレポートする。

Tetsuya komuro

Tetsuya Komuro

終演後「すごい…」という言葉しかでてこないような、壮大なインスタレーション・ライブだった。

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Akira Wakita

カナダのモントリオール発、現在は世界6ヶ国で開催されている電子音楽とデジタルアートの祭典であるMUTEK。
今回、日本で2回目の開催となったMUTEKのクロージングパーティーに、小室哲哉氏とメディア・アーティスト/慶應義塾大学教授 脇田玲氏がインスタレーションライブパフォーマンスで出演することとなった。

MUTEK出演に際してのインフォメーションとして、2016年9月、オーストリアでの「アルス・エレクトロニカ フェスティバル」で披露された小室哲哉、脇田玲、両氏のコラボレーション作品「Deep Space 8K:Scalar Fields TK+Akira Wakita」に改良を加えたものを披露するとの告知があったが、想像の遥か上を行く、素晴らしいインスタレーションだった。
予備知識なしで観ていた人は卒倒するくらい衝撃的だった体験だったのではないだろうか。

広いホールのステージに小室さん用のブースと脇田さん用のブースが運び込まれる。

その後、フロア後方では今は亡きシンセサイザーの先駆者である冨田勲氏をトリビュートした「CLAIR DE LUNE for Tomita Isao」がはじまった。冨田さんの奏でる「月の光」が響く中、たくさんの丸い球体が動く幻想的なインスタレーション。それは、何かのはじまりを予感させるような…。

そして小室さんと脇田さんが登場。しばしの調整ののち、ライブがスタート。

映像は去年の「Scalar Fields」とは全く違い、何かの波動か太陽のコロナか、はたまた地震や台風の波形なのか。普段は目に見えない事象を緻密な計算で可視化させた脇田さんの映像はとても美しく、その連続性や移り変わる様に目が離せなかった。

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音楽はもちろんシンセサイザーを駆使し、去年の作品をベースに再構築されていた。時折どこかで聞いたことがあるようなフレーズもあり、かつ、未来の音も鳴っていた。小室さんの奏でる唯一無二の音が広い空間の中で響き渡る。例えば、ノイジーな音も不快ではなく、とても心地よい。それは小室さんの作り出すシンセサイザーの音色が繊細で綺麗だからだと思う。過不足がないとも言えるかもしれない。ずっと浸っていたい気持ちになる。

小室さんと脇田さんは黙々と粛々と演奏、そして作業をしているように見えるのに、産み出されるものはとんでもない熱量を放っていて、まるで音と映像の核融合のようなコラボレーション。観覧者はその光をずっと浴び続けて、魂が抜かれたようになって現実に戻ってこられない…そんなライブだった。

途中から、いや最初から「何だろうこれは…凄い事に遭遇してしまったのでは?」と思ったオーディエンスが大勢いたのではないか。きっとたくさんの人が知っている「J-POPの音楽プロデューサー小室哲哉」はそこには影も形もなくて、とても新鮮でよりアーティスティックな音楽家としての表現を見せてもらった気がする。

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今回のインスタレーション・ライブは映像と音楽の融合度がとても高かった。「Scalar Fields」は今年2月から3月に六本木ヒルズの東京スカイビューで催されていた「MEDIA AMBITION TOKYO 2017」に展示されていたが、こちらが「静」なら今回は「動」、または「乱」というような。はたまた「起」が「承」に移行したような発展が見られた。より映像と音楽にストーリー性を持たせているようだった。小室さんは以前インタビューで、脇田さんの映像に曲をつける形で作っていると言っていたが、今回は映像が音楽に寄り添っているように感じられる場面もあった。それはライブ・インスタレーションという特別な空間だったからなのかもしれない。

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その場での即興は技術的にもとても難しいことだと思う。でも、この音と映像がリアルタイムに創り出す「壮大」な「迫力」、そして「ギャップ」をたくさんの場所でたくさんの人に体感してほしい。
きっと観た人それぞれが想像を超えた感情を湧き立たせるはず。とても言葉では言い尽くせない衝撃が必ずあるから。

再演を願って。

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